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  聖書メッセージ02

「良きサマリヤ人」


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 良きサマリヤ人

 イエスは答えて言われた。

 「ある人が、エルサレムからエリコへ下る道で、強盗に襲われた。強盗どもは、その人の着物をはぎ取り、なぐりつけ、半殺しにして逃げて行った。たまたま、祭司がひとり、その道を下って来たが、彼を見ると、反対側を通り過ぎて行った。同じようにレビ人も、その場所に来て彼を見ると、反対側を通り過ぎて行った。

 ところが、あるサマリヤ人が、旅の途中、そこに来合わせ、彼を見てかわいそうに思い、近寄って傷にオリーブ油とぶどう酒を注いで、ほうたいをし、自分の家畜に乗せて宿屋に連れて行き、介抱してやった。

 次の日、彼はデナリ二つを取り出し、宿屋の主人に渡して言った。「介抱してあげてください。もっと費用がかかったら、私が帰りに払います。」この三人の中でだれが、強盗に襲われた者の隣人になったと思いますか。」彼は言った。「その人にあわれみをかけてやった人です。」するとイエスは言われた。「あなたも行って同じようにしなさい。」 (ルカの福音書10章30〜37節)

 たとえ話に投影された自己の姿

 今回は、「良きサマリヤ人」のたとえ話から考えてみましょう。たとえ話の登場人物は全て、ある側面から投影された「私自身の姿」ではないか、そのように読みますと、とても興味深く読むことが出来ると思います。

 サマリヤ人

 最初に「サマリヤ人」ですが、これは「理想の私の姿」です。「世のため、人のために役に立てる人間に」。私たちは幼いときからこのように教えられ、育って来ましたし、また自分の子にもそのように教えていると思うのです。けれども「現実の私はその通りか」と自問すればどうでしょうか。あなたはどうお答えになりますか。

 祭司とレビ人

 次に「祭司とレビ人」ですが、これは「私から見た私の姿」です。「本当は助けてあげたいんだけど、けれども出来ない。」私自身、過去に何度もこのように自責したことがあります。「自分は逃げているんだ。弱虫で卑怯なんだ。」結局いつも、いろんな理由をつけながら傍観者であり続けた。それが私自身の姿だと思うのです。

 強盗

 そして「強盗」ですが、これは、「他人から見た私の姿」です。勿論私たちはバットや拳で他人を傷つける訳ではありませんが、「ことば」や「思い」でなら平気で他人の心を傷つけてしまうのです。ある著名な方がこう記していました。「何か物を盗まれたからといって、自殺する人はいないが、悪口を言われて自殺する人はいる。してみると、人の悪口を言うことは、泥棒よりもはるかに重い罪だ。」確かに、心の傷は見えないけれども、いのちを奪うことがあります。交通事故や何かの事件で亡くなる方よりも、自殺による死者の方が圧倒的に多いという事実は、何を物語っているのでしょうか。人を殺すのは、刃物や銃ではありません。不用意な一言が、思いやりの無い態度が人を死へと追いやるのです。ただ加害者はそれに気づかないだけです。「一度も人を傷つけたことがない」と言える人がはたしているでしょうか。

 「傷つけられた人」

 最後に「傷つけられた人」ですが、これは「神様から見た私の姿」です。私たちが加害者であると同時に、立場が変わると被害者でもあるのです。天童荒太の小説に「永遠の仔」というのがあります。幼少期に親から虐待を受けた子供たちが成長して大人になる。ところが幼い頃に受けた傷は決して癒されることない。傷つくことがどんなに辛いことなのか知っているはずなのに、今度は自分が同じ加害者になるという束縛から逃れることが出来ない。生きていれば人を傷つける、人を傷つけたくなければ自分が死ぬしかない。そんな狭間で彼らは絶叫する。「誰か私を救って。もう私は生きていけない。」私たちも程度の差はあれ、「傷つけられた人」ではないでしょうか。対人関係における私たちの言動には常に、「傷つけられたくない」という潜在的な防衛本能が作用していると言われています。過去に受けた傷が、今のことばを語らせているのです。

 神の招き

 あなたもまた、傷ついて倒れているのではありませんか。もしそうであるならば、イエス・キリストがあなたのサマリヤ人となって下さいます。「すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。」(マタイの福音書11章28節) 神の目には、あなたは傷ついた人、疲れ果てた人に映っています。そして神はあなたを癒そうと招いて下さっているのです。

Br.Cova




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